新たな時間


ある瞬間、世界のある場所、あるどこかの部屋でどんな暮らしがされているのかは、そこに行かなければ見ることはできない。その一瞬の光景は次々と現れては消えていく。

それを写真家が写真に収める。一度収められたイメージは何度も見ることができ、それによって新たな意味を持ち始める。写真におさめられた人、光景と見る人の間に会話が生まれる。そしてそこには写真家がいる。

写真家は自らの過去の一瞬に起きた視覚を通した関係を写しとった。

現在の時間を止めたことが新たな時間、新たな関係を未来に向けて生み出す。

部屋はほとんど光がなく薄暗かった。カメラで光景を捉えるのはほとんど無理だった。冷蔵庫が開けられて光が部屋にもれる。光景が写真になれる短い時間が現れた。