物語のある写真


よい写真とはどんな写真のことをいうのだろう。そもそも説明できるものなのだろうか。撮る側なのか見る側なのかによって違ってきそうな気もするし、違わないはずだと思ったりもする。物語のある写真はいい写真だと聞くこともある。

物語のある写真

それは必ずしもドキュメンタリーのような出来事を直接伝える写真のことだけをいうのではなくて、もっと幅広くすべてのジャンルで物語のある写真は確かに存在している。雰囲気のある写真ということもあるかもしれない。

音楽のように。

音楽もまた幅広いジャンルがあるけれども、たとえばクラシカル音楽や映画音楽は心や感情を支配する脳の中のどこかの場所に直接入り込んでくることがある。理屈や説明を飛び越え心を動かす。

美術館で印象派の有名な人の、でもそれほど人気のあるものではない地味な絵画を見ていたとき、突然自分の心が動かされて強い感動を覚えた。理屈では説明することができないものだったが、「ああ、音楽と同じところが反応してる」と思った。脳のどこかの場所。

ぼくは言葉で説明できることなら言葉で説明すればよいと思う。写真でしか伝えられないことを伝えることが究極的な目的。写真は視覚の延長だから視覚の可能性を探る。その過程のなかにきっと写真でしか伝えられないことがあると思う。

写真家がどのように世界を見たのか、それが伝わってくる写真。