現在の決断


写真は限られた表現方法である。限られた表現方法だからこそフレーム内のすべてに慎重でなければならないし、自覚的でなければならない。

限定された表現の中だからこそ多くのことが求められる。もっともそれは写真家が全てをコントロールすることを意味しているわけではない。絵画との違いはそこにある。写真家は積極的に何をどう撮るのか、何をフレーム内のどの位置に収めるのか、何をフレームから外すのかを決める。

それを現在の時点で決断する。過去はすでに過ぎ去り未来は誰にも予想できないのだ。人生とよく似ている。我々はいつでも色々なことで迷い戸惑っている。そして決断を迫られる。自ら決断するときもあるし他のことからそれを選ばざるを得なくなることもある。

写真を撮るときに目の前の光景がベストなのかどうか答えはない。できることはこれだと決めてシャッターを押す現在の決断のみである。